「それは、何の冗談かしら?」

動揺してるらしい。

「冗談じゃないさ」

父さんは普通に答えた。

「さっき、心が言っただろ?

俺から由那に話しがあるって」
「それは、昔の恋人と
やり直したいから
別れて欲しいって話しなんだ」

母さんは放心状態だ。

「なぁ、おじさんの昔の
恋人って誰なんだ?」

「聞いてビックリ、

作家の伊宮直季」

少し得意顔で言ったらさっきまで
放心状態だった母さんまで
琢磨と一緒に叫んだ。

「「はぁぁぁ!?」」

まさか、母さんまで叫ぶとは
思わなかったけどまぁいっか。

「おじさん本当?」

琢磨が父さんに詰め寄ってる。

「そぉだよ」

琢磨に詰め寄られて
たじろぎながらも父さんは答えた。

そぉ言えば琢磨もファンだった。

「その話しは今度しよう」

危ない危ない話しが逸れるところだった。

「まずは、オレ達のことだけどさ
何で反対するわけ?」

「だって、同性同士なんて
非生産性で何も
産まれないじゃない」

母さんの言葉に最初にキレたのは
やっぱりと言うべきか
父さんだった。

「お前もか!!!!!」

お前も?

疑問が顔に出たのか
父さんが説明を始めた。

「俺達が別れさせられた時に
由那の父親が言ったのが
そっくりそのままだったんだ」

「成る程ね」

だから[お前も]な訳か。

親子揃って同じ台詞って……

「母さん、確かに、
同性同士じゃ
何も産まれないけど
愛があれば全て
埋められるとオレは思ってる」

「だから、例え母さんに
勘当されても琢磨と別れないから」

オレの言いたい事は全部言った。

「よく言った!!」

父さんに褒められた(笑)

「心もあなたも何なのよ!!」

母さんがテーブルを
叩きながら叫んだ。

何なのと言われても
オレも父さんも
ただ好きな人と居たいだけだ。

「好きな人と一緒に居たいだけだよ」

テーブルの下で琢磨の手をギュッと握った。

「言いたいことは
心が全部言ってくれるから楽だな」

苦笑いを浮かべて父さんが言った。

思ってる事は
父さんもオレも同じだからな。

「オレは琢磨と
別れないから!!!!!」

ちゃんとした結婚も出来ないし
子供も出来ないけど
愛があれば大丈夫!!

「はぁ〜

心の意志が強いのは分かったわ。

私の負けよ」

と言うことは……

「彼と別れなくていいわ」

ゃった!!

「良かったな、心」

父さんが笑顔で頭を撫でてくれた。

「だけど、離婚の話しはまた別よ」

確かに、二人の問題だ。

「あなた、
どぉいうことなの?」

「どぉもこぉもそのままの意味だ。

そぉだな、少し昔話をしよう」

オレに聞かせてくれたあの話だよな。

「お前と見合いする前
俺には恋人が居た」

「それがさっき
言った伊宮直季だ。

本名は湯木心夜」

あの時のように

紙に心夜さんの名前を書いた。

「読み方は変えてるが
心夜から一文字貰って
"心"と名付けたんだ」

紙と父さんを何度も見て
何か思ったのか
母さんの顔つきが険しくなった。

その後、オレと琢磨をそっちのけで
二人の喧嘩……?が始まった。