そんな俺の気持ちを
知ってか、知らずか…
お前は上目使いで甘える様に微笑む。
「ねぇ、お願いがあるの…」
「んっ?」
「仁の行ってるフィットネスクラブ
私も連れてって欲しい」
「はあ?
なんだよ。人がせっかく余韻に浸ってるのに
色気のない話しだな…」
「だってぇ~…
明日香さんとゴルフ行く約束したでしょ?
仁も明日香さんもゴルフ上手いけど
私、初心者でヘタだもん。
コースで恥かきたくない」
「だったら、打ちっぱなし行けばいいだろ?
なんでフィットネスクラブなんだ?」
この時の俺は、顔では平静を装っていたが
心中穏やかではなかった。
フィットネスクラブは…マズい。
「打ちっぱなしは、この時期寒いし…
仁の行ってるフィットネスクラブはゴルフの室内練習場があるでしょ?」
「んん…そんなのあったかなぁ~」
確かに、あったな…
「あるわよー!!
仁が入会する時に持ってたパンフレットに載ってたもの
それに最近、運動不足だし
スタイル維持に筋トレしたいって思ってたんだ」
「じゃあ、マンションに近い所にしろ
俺が行ってる所は、ちょっと遠いし…」
「ヤダ!!
仁と一緒のとこがいいの!!」
「でもな…」
暫くの間、押し問答が続いた。
しかし、俺がなかなか首を縦に振らない事に
星良が怪しみだした。
「仁、なんか変だよ。
私がフィットネスクラブに行くとマズい事でもあるの?」
ある。大いにある。
「いや…別に…ない」
「じゃあ、いいよね?」
「あ、いや…」
のらりくらりと返事する俺に
とうとう、星良がキレた。
「もういい!!
仁になんか頼まない!!
明日香さん誘って、仁の行ってるフィットネスクラブに入会するから」
明日香だと?
それは、もっとマズい…