ディスプレイに表示されていた文字は
"西課長"
明日香か…
《お話しがあります。
ランチご馳走して下さい》
短いメール文を読み
星良絡みという事は、すぐに分かった。
星良は何かあると、明日香に相談してるみたいだからな…
仕方ない
話しを聞くか…
そして、昼休み
中年サラリーマンで賑わう飯屋で
星良と明日香と俺
3人でテーブルを囲む。
目の前に座った明日香は機嫌悪そうに俺を睨み付け
その隣の星良は今にも泣き出しそうな顔をして俯いている。
「時間がないから、単刀直入に聞くわ。
専務、星良ちゃんに成宮部長補佐と寝てこいなんて言ったそうね?
ソレ、本気?」
「…いきなり直球できたな…」
「まわりくどい言い方は嫌いなの
本気?それとも、悪い冗談?」
そんなの本気のワケないだろ?
そう言いたかったが、俺の口から出た言葉は…
「半々だな…」
「何ソレ?意味分かんない!!」
明日香の眼が、益々つり上がり
星良の瞳が潤んでいく…
泣くな…星良
泣かないでくれ。
お前の涙を見ると、俺は…
「もう星良ちゃんの事は好きじゃないって言いたいの?」
明日香がそう言ったのと同時に
星良の大きな瞳から、小さな雫が零れ落ち
テーブルの上で儚く弾けた。
「…星良」
「仁、ごめんなさい…」
「なんでお前が謝る?」
「だって、私が悪かったんでしょ?
仁に黙って成宮さんと飲みに行ったし…
モデルの事だって、仁が良かれと思って決めてくれた事なのに
あんな態度取ったりして
だから…」
「違う!!」
「仁…」
「星良は悪くない。
悪いのは…俺だ」