会社に到着し、専務室に入ると直ぐ社長に呼ばれた。


「おはよう御座います」

「おぅ、出張から戻ったばかりなのに、朝一からすまないな…
で、例の件はどうだった?」

「はい。向こうは乗り気ですね。
商談は成立…と言っていいかと…」

「そうか!!良くやった。
水沢には少々、酷な仕事だと思うが、なんとか頼むよ」

「はい…」


社長が気にしているのは、今度の新プロジェクトのこと。
俺が東京に出張していたのは、この為だ。


「…それはいいとして…
水沢が出張に行ってる間に少し厄介なことになってな…」


言いにくそうに視線を落とす社長。


「なんですか?」

「んん…実は、また西野先輩が来たんだよ」


西野先輩とは、俺と社長の大学の先輩で、このピンク・マーベルの大株主でもある理子の父親だ。


「やはり星良を会社に残したことが納得出来ないってな…」

「なっ、話が違いますよ!!
星良を企画から外すってことで納得してもらったんじゃないですか?」

「いや…そうなんだが…
先輩は、理子の代わりにモデルになったのが星良だって知って、怒り狂っちまってな…」


やはりそうか…


星良が理子をモデルから降ろした後、西野先輩が怒鳴り込んで来て、星良をクビにしろと言ってきた。


俺と社長でなんとか西野先輩を説得し、星良を企画から外し降格させるということで納得してもらったんだが、あの成宮のバカが星良をモデルにすると言い出してマズいと思ってたんだが…


あの時、もっと強く反対するべきだった。


悔やんでる俺に、社長は更に続ける。


「もうサイトに星良を企画の顔として登場させてしまったから、今更変更は出来ないと突っぱねたんだよ。

そうしたら、星良がモデルになることを容認した水沢…お前に責任を取ってもらうと言い出してな」

「俺に…ですか?」