「…大丈夫?」


 いつもなら、こんな事は聞かないのだが。

 思い詰めてる。

 そう思ったから、聞かずにはいられなかった。


「うん、大丈夫だよ」


 そう答えるミサトの笑顔は、どこかぎこちなかった。

 今は、これ以上どうしようもないということを、ユイはよく分かっていた。

 だから、微かに笑顔を返しただけで、そっと船室を後にする。

 一人残されたミサトは、小さな丸い窓から見える大海原に視線を移す。


「…海に…」


 自然に口をついて出た言葉。

 何故かは分からない。

 だが、ざわざわとした感覚が、ミサトの全身を包み込んでいた。