「あいつが撃たれたのは、港の埠頭でな。銃声よりも着弾のほうが早かった…。俺が気付いたときには、あいつは海に落ちて」

「そう」


 もういいというように、ミサトはエイジの言葉を遮るように相づちを打った。


「シャン…シャンを、探さなきゃ…」


 気を取り直すように頭を軽く振り、ミサトはそう呟くと歩きだそうとした。

 だが、エイジに腕を掴まれる。


「これだけ時間が経ってるんだ、追い掛けるのは無理だ」

「でも!」

「彼女は命懸けで俺たちに情報をくれたんだ、それを無駄にはしたくねェ」


 ミサトはエイジを振り返る。

 シャンは、港に使われてない倉庫がある、と言っていた。

 おそらくそれは、任務を放棄してまでくれた、精一杯の情報なのだろう。

 そう思うと、ミサトはいたたまれない気持ちになった。