「…ミサト…!」


 レイが引き金を引く瞬間、ミサトはエイジの前に飛び出してきたのだ。


「…よォ、久しぶりだな。怪我はねェか?」


 押し倒された拍子に腰を打ったらしく、エイジは顔をしかめながら言った。

 あんたに言われたくないわよ、とミサトは苦笑する。


「…防弾チョッキ。これ、動きにくくて嫌いなのよね。ついでに言うと一つの場所で張り込みなんてのも、あたしの性に合わないんだけど」


 脇腹に穴の開いた防弾チョッキを脱ぎ捨てて、ミサトは言った。

 そりゃ可愛そうにな、とエイジは呟く。

 そして、ミサトはレイの方に向き直った。


「銃を撃つ時に目を閉じるなんて、プロらしからぬ撃ち方だね、レイ…ううん、シャン」


 ミサトは悲しそうな目で、幼い頃の唯一の親友の名を呼んだ。

 一瞬、二人の視線が絡み合う。