「…いつかは、こうなると思ってたぜ」


 タバコを取り出して火をつけると、エイジはレイを見つめた。

 レイは何も言わずに、狙いを定める。

 そして、引き金に指をかけた。


「ありがとな」


 目を伏せて、エイジは言った。

 ぴくり、と少しだけ目を見開き、レイの指が止まる。


「ユイに電話でミサトの居場所を教えてくれただろ。それが、オマエのできる精一杯のことだったんだな。ウー・イー・シーに所属しているオマエの、な」

「………」

「養成所からの親友だったミサトの姿を、ひと目見たかった。顔を変えてまで…」

「………」

「おそらくオマエの今回の任務は、俺と、レンとミサト、三人の抹殺…」

「…そうよ」


 ここではじめて、レイは言葉を発した。

 喉の奥から絞りだすような、くぐもった声だった。

 銃口を向けるその手の震えも、止まらない。