エイジはため息をついて、家を出た。

 そして、ふと足を止める。


「…よぉ、偶然…なのかな、こんな場所で会うなんて」


 目の前には一人の女が立っていた。


「偶然なんてそうそうないわ」

「なんか雰囲気変わったな、レイ」


 今は『AGORA』にいた時のように眼鏡はかけていない。

 長い髪の毛も、頭の上の方で束ねている。

 服装も、まるで軍隊のような迷彩柄だった。

 そして、腰には銃がつけてある。


「この国ってそういうのアリだったか?」


 エイジは苦笑した。


「捕まるような証拠は残さないから大丈夫よ」


 レイはそう言って、銃口をエイジに向けた。

 エイジはみじろぎもせずにそのまま立っている。