愛莉side

いつまでも保健室の前にいたら怪しまれる。そう思ったあたしは中庭に移動した。
中庭は教室からは見えない場所にあってサボってる人とかもみんなここに集まる。

でも、この時間が過ぎたらもう教室に戻らないといけない。
だけど、校舎の中に入ったら篤志に会う可能性が高くなっちゃう・・
あたしは、今篤志に会ってまともに話せる自信ないよ・・。

『キーンコーンカーンコーン』

あ~あ・・チャイムなっちゃったよ・・
教室やだな~
あっ、そういえば、この時間が終わったら保健室に篤志はいないんだ!保健室に行こ・・

案の定、保健室には誰もいなかった。あたしはすぐにベッドに横になる。
ここの保健室では保健の先生がいることが少なく、休み時間は絶対に保健の先生はいない。その間にベッドに入って寝てればなんにも言われないんだ。

ベッドに横になってふと考えたことがあった。
どーでもいい事なんだけど、このベッドは篤志が使ってたんじゃないかな・・って。
2つのベッドのうちこのベッドはなんか布団とかシワシワで、なんか篤志の匂いがする。気持ち悪いかもしれないけど子供の頃から一緒にいて、篤志の匂いにちょっと敏感なのかも。

「愛莉!!大丈夫???」

保健室の扉が壊れるんじゃないかってくらい勢いよく開けて美樹が入ってきた。

「もう!ビックリしたよ。あたしは仮病だから。」

「よかった!美樹に授業中に保健室に来たって聞いたから。」

え・・・・
佳澄?が心配しに来てくれたのにあたしは喜ぶことが出来なかった。

「佳澄・・ちょっと美樹に話したいことがあって、2人にしてもらってい良い?ちょっとだけだから。」

「分かった!!あたしは教室に戻ってる。」

あたしが保健室から佳澄を追い出して、美樹は不思議そうな顔でこっちを見てくる。

「なんで?話って?」

「佳澄、彼氏いないって言ってたじゃん?だけど彼氏いたの。」

「え?彼氏なんていないんでしょ?」

やっぱりそう思ってるよね。だって本人がそう言ってたんだもん。
でも、全部嘘だった。あたしたちは騙されていた。

「彼氏って誰だったの?」

あたしは言いにくいけどちゃんと『篤志』って伝えた。
美樹は嘘でしょ!?って驚いてた。何であたしは気づかなかったんだろう。もっと早く気づいていれば楽だったのに・・。

「この時間、あたしもサボる。」

いきなりそう宣言した美樹は、あたしの話をゆっくり聞いてくれた。
この時はまだ知らなかった。あたしが佳澄にどれだけひどい事をしてたのか。

「ねぇ、美樹?親友の恋を応援できないって酷いよね・・。」

「えっ?そんな事ないよ!!愛莉は嘘つかれてたんだよ!?あたり前じゃん!」

あたしは美樹の言葉を聞いて少し安心した。そんな話をしていたら、2人共、同じ時間にメールが来た。同じ人からだと思ってたら違って、あたしは佐藤くんからで美樹は彼氏の山本裕也から。あたしのメール内容は、<大丈夫かよ~??篤志もさっき心配してたぞ>って・・・・え?篤志があたしを心配してる?そんなわけないじゃん!だって・・。ああ・・、そっかぁ。心配って幼馴染だからだね。普段、保健室なんて行かないから。
でも、なんで篤志はあたしが保健室に来た事知ってるの?

<大丈夫!!てゆうか・・篤志が心配してるわけないでしょ!?あたしの事・・。嘘はだめだよ♪>
とりあえず返信したけど・・嘘って言われたらショック受けるな。たとえ幼馴染だったからにしても、嬉しいから。

「美樹?メール誰から?」

「え?あ・・。伊藤くんから・・」

はぃ?なんで美樹に篤志からメール来るの?あたしの所にはきてないのに・・・
あたし、もしかして避けられてる?篤志に。
最近、なんかしたっけ?覚えないんだけど・・・。

「別に変な内容じゃないんだよ!勘違いしないでね。ほら」

美樹から見せられたメール・・。あたしはなんて言ったら良いのか分からなかった。