篤志side

今、俺の前には泣きじゃくる山本がいる。
山本はクラスメートで委員会も一緒だ。

体育前の休み時間、俺と山本は資料室にいた。
委員会の仕事であるファイルを探さないといけなかった。
資料室は一言で言ったらごみ屋敷。こんなところでひとつのファイルを見つけ出すなんて一苦労だ。
時間をかけてやっとファイルを見つけたけどそのことには授業開始2分前になっていた。

「やばい~!急がなきゃ、遅れちゃう!!」

「俺もう遅刻かも!」

そう言って2人で急いで資料室を出ようとしたとき、山本の肩が棚に当たって棚が山本の方に倒れてきた。俺は山本をかばったらしく、意識を失っていた。
目が覚めると保健室のベッドの上にいた。山本が泣きじゃくってるからビックリしてベッドから起き上がった。

「ごめん・・あたしのせいで・・・ごめんね・・」

泣きながら何度も謝る山本に俺は‘大丈夫だから’としか言えなかった。
山本はそれを信じていないようだけど。体はいろんなとこが少し痛いだけで大したことない。なんで意識を失ったのかも全く分からない・・。

しばらくしてやっと山本が落ち着いて話せる状況になった。

「本当にごめんなさい。怪我させちゃって・・。」

「俺、体強いし!心配いらねーって!」

「よかった・・私、篤志が大怪我したかと思ってグスン・・」

山本はやっと俺の言葉を信じてくれた・・。良かった・・。
そういえば、山本って俺の事名前で呼んでたっけ?
いや・・?呼んでなかったはずだ。
クラスの女子も俺の事は伊藤くんって呼んでるし、変な誤解されるの嫌なんだけどな~。

俺の事を名前で呼ぶのは愛莉だけだ。愛莉に名前で呼ばれるのは嬉しかったりする。それは、俺が小学校のときからずっと、愛利の事が好きだから。

でも愛莉は佐藤隆弘の事が好きな気がする。隆弘は俺の親友で愛莉と同じクラス。結構いつも愛莉と話してる。だから俺はいつまでたっても愛莉に告白できない。ほんと俺ってへたれ(笑)自分が傷つくのが怖くて自分を守ってる。
結果の見える告白はしたくない。

俺は愛莉に友達としてしか思われてないんだ。

「篤志?やっぱり頭とか打った??」

「え?なんで?」

「ぼーっとしてたから。」

だって愛莉の事考えてたらぼーとするし・・。
つか、山本に篤志って呼ばれたくない・・。

愛莉に会いたくなってきた。愛莉の事を考えるといつも会いたくなる。
でも、愛莉は今、授業中だし。今日は帰りに愛莉の誘って一緒に帰ろう♪

「山本、途中からでも授業行けば?俺ちょっと一人で居たいし。」

「あ・・・うん。分かった!じゃあ・・」

はぁ~
疲れた。どっと疲れがたまった気がする・・。
気のせいか?

今日の放課後は心が躍る♪
そのことを考えると疲れも吹っ飛んでしまう(笑)