愛莉side

あたしは佳澄を応援できない。
それはあたり前のような気がするけど、親友の恋を応援できないなんて最低だよね。
だけど、嘘つかれてたことはショックだった。友達だったのに。
‘恋なんてしない’
‘彼氏なんていらない’
また初めの頃と同じ気持ちを思い出した。
初めの頃の気持ちを思い出すたび泣きそうになった。
篤志を見るたび、胸が苦しくなって、涙が溢れて
好きー・・・
そんな気持ちでいっぱいになる。

最近は、授業も全く頭に入らない。
暇だな~

ぼんやり外を見てたら、外では体育している2年2組の男子がいる。

陽が男子を照り付けてる。
暑そう・・。

2組は篤志のクラス・・。
目が勝手に篤志の事を探し始める。
あれ?いつもならすぐに篤志を見つけるのに、篤志がいない。

篤志は?朝はいたはずなのに・・
もしかして保健室かも。
怪我かな?それとも風邪?
篤志のことが不安でいてもたってもいられなかった。

「先生・・気持ち悪い・・。」

「じゃあ、保健室行って来なさい。」

「はい・・。」

あたしは初めて仮病を使った。
いつもはクラスでまじめな生徒だから仮病も怪しまれない。
だから保健室に行くことは出来るんだけど
今篤志に会って何を話すつもりなんだろう・・?

『俺、体強いし!心配いらねーって!』

あたしの勘は正解!!保健室の中から篤志の声がした。
早速入ろうとドアに手をかけたら

『よかった・・私、篤志が大怪我したかと思ってグスン・・』

中からは佳澄の泣きながら話す声が聞こえた。
いつも佳澄は篤志のこと‘伊藤くん’って呼んでて
名前で呼ぶのは私ぐらいだったのに・・。
どうして佳澄は‘篤志’って呼んでるの?

やっぱり、付き合ってるんだ。

脱力してその場にしゃがみこんだ・・。
動くことも出来なくてただただ、泣いているだけだった。
涙が止まらなくって、篤志の事を友達だと思っていた
日々のほうが楽しかった事を思い出した。
そして、そんな日々がどれだけ幸せだったかも実感できた・・。

動けない・・。

テレビで恋愛ドラマを見ていてこんなに悲しくなる事じゃないでしょ?
テレビだからってやりすぎでしょ?っていつも思ってた。

でも違った。
実際、動けなくなるほど悲しいし、涙が止まらない・・。
自分の事をこんなに惨めに思ったのは初めてかもしれない。
ホントに涙が止まらない・・。

今日はもう学校にいる気力ないから早退することにした。
やっと止まった涙も、篤志を思い出して、
‘もう自分の元へは来ない’
そう思うだけで、また涙が流れた。