愛莉side

篤志の事を好きだって気づいてから
一週間が過ぎた。
会ってもまともに話せないし、目も見れない。
こっそり影から見る・・・。
そんなことをしていた。
というか、そんなことしか出来なかった。

「最近、愛莉変だよ・・・?」

「美樹!あっええっと・・・。」

「ん??もしかして好きな人でも出来た?」

「い・・え?え?ち違うよ!!」

「嘘だ!!誰?」

美樹は何でも分かっちゃう。言わないなんて無理だろうなぁ・・。
きっと言うまでずっと聞いてくるだろうし。

「篤志!!伊藤篤志だよ///。」

「まじで!!応援するよ♪頑張って!」

好きなんて思った人、篤志が初めて。
初恋が高校生なんておかしいのかな?
でも、彼氏なんていらないって思ってたあたしに好きな人が出来るなんて、
あたし自身ビックリだよ。

初めての経験だし、恋の駆け引きとか分からない。
だから見ているだけで幸せ、そう思ってしまう。
今日もいつものように窓の外を見ていたら、篤志の姿が見えた。

「あっ!篤志だ。」

でも、篤志の隣に・・・

「え?うそ・・でしょ??」

あれって・・・佳澄?
なんで・・・・
彼氏なんていないって言ってたのに・・
篤志は彼氏じゃないの?
それとも・・
彼氏がいないなんて嘘・・・?
あたしに嘘ついてた?

でも、篤志が幸せなら私は、わがままな気持ちをぶつけることなんて出来ない・・・。
知ろうとしなかった・・。
ずっと一緒だったのに。
一緒にいることがあたり前だった。
あたしのそばから離れていくことなんて考えたことなかった。
篤志の事は、知らないことばかり。

手に入れようとすると逃げていくー・・・

叶う恋なんて少ないんだ・・
今、そんな簡単なこと知った気がする。
失恋その言葉が頭に響いて消えなかった。
すぐに篤志を見つけてしまう自分がなんだか惨めだった・・。