どうしてあたしだけ…。
寒さが急激に厳しくなった今日この頃。
今日のあたしはいつもより早く家を出た。
まだ日の光も出ていない午前6時。
あたしは昇降口の前に立っている。
まだ開いていない昇降口。
ひっそりとしたその雰囲気はどこか不気味だった。
「せんせーまだかなー」
こんなに朝早くに学校に来ているのにはもちろん、ちゃんとした理由がある。
昨日の午後。
部活が終わったあたしは、忘れ物を取りに教室へ戻った。
教室には大量の資料と、担任の岡山。
「何してるんですか?」
先生はあたしを見るやいきなりニヤリ、と不気味な笑みを浮かべた。
「大原、明日6時に学校来いよ」
「嫌ですよ。そんな朝早く」
あたしが言い返すと岡山は近づいてきてあたしの耳元っで、そっと呟いた。
「ご褒美あるぞー」
息が耳に当たってこそばゆかった。
あたしはその“ご褒美”に釣られて、白い息を吐きながら学校へやってきたのだ。