目指せ書籍化☆野いちご小説講座!!


<<直してみたよ★>>

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「おはよー!」


私、いちご。高校2年生。

明るくて元気だけど、ちょっぴりドジな女の子。


今日から2学期なの。

文化祭ももうすぐだし、楽しみだな~!



私はわくわくしながら、下駄箱でクラスの友達にあいさつしていた。



――ドンッ!


「いたっ!」


そのとき、誰かがうしろからぶつかってきた。



うわぁ……。



そこにいたのは、長身で、モデルも顔負けってくらい整った顔立ちの、超イケメン。


こんな男子、うちの学校にいたんだ……。



「なに、見とれてんだよ?」

「ほえっ!?」

「俺にホレたか?」


……はぁぁ!?


「ほ、ホレるわけないでしょ!? バッカじゃない!?」


なによ、このナルシスト男―っ!!



そう言いながらも、私は、自分の胸がドキドキと高鳴っていることに気づいていた。

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「どどど、どうでしょう……?」


「うんうん、映像がパッと思い浮かぶし、男の子がすごくかっこいいってことも伝わってきたわ」


「や、やったぁ~~♪  “いつ、誰が、どこで”を意識して書いてみたんです!」


「えぇ、それはとっても大事なこと。物語の冒頭や、場面が変わるところでは、とくに注意してほしいわ」


「ふむふむ。このページもまさに、物語の最初のシーンでした!」


「そういうシーンは、読者の頭の中でまったくイメージが浮かびあがっていないところからスタートするから、丁寧に書かなきゃね」


そのとおりかも。

場面がパッと思い浮かぶと、自分がその世界に入っちゃったみたいで、わくわくしちゃうもんね♪


「これでわたしも、作家として完璧ですね♪」

「いいえ、まだまだ。これは基本中の基本、第一段階クリアってとこよ」

「えぇっ!?」



編集部さん、案外ドS……!


だけどコイチゴ、次もがんばりま~す!


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Step1♪まとめ


“いつ、誰が、どこで”が、

読んでいる人に伝わるか、

意識しながら

読み返してみよう!


冒頭と、シーンが移り変わるところは、

とくに注意が必要だよ☆


~*~*~*~*~*~

<<コイチゴが書いてみたよ★>>

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「いちご、おはよ! ねぇ聞いた? 今日、転校生が来るんだって!」


教室へ行くと、親友のくるみが近づいてきた。


クラスのみんなも、転校生の話題で盛りあがっている。


「うちのクラスに来るの?」

「そうらしいよ! しかも、中学生のころ、甘王の総長だった人らしいよ……!」

「えーー!?」


甘王っていうのは、超有名な族。



そのとき、担任の先生が教室に入ってきたので、みんなあわてて席に着いた。


「HRを始めるぞー! 今日は、転校生を紹介する。では、入りなさい」


――ガラッ。


扉が開いた瞬間、見覚えのある男の姿が目に入る。


アイツ、さっき下駄箱でぶつかった……!


「ナルシスト男!!」


私は思わず立ちあがり、叫んでしまった。

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「前回の話の続きです!」


「そうねぇ。まず、“甘王”について書かれているけど、これはどう有名な族なの?」


「日本一強くて、有名な族です!」


「それも書いておいてほしいわね。ところで、そんな族を、主人公のいちごちゃんたちは、どうして知っているのかな?」


「えーっと……」


強ければ、それだけで有名なのかなって思ってたけど……。

たしかに私も、強い暴走族の名前なんか知らないや。


「あっ。甘王は族だけど、理由もなく悪さをするわけじゃなくて、弱い者を苦しめるヤツらを、こらしめるんです! カツアゲとか、痴漢とか……。だから、みんなのヒーローなの!」


「それなら、一般的にも知られている理由につながりそうね。具体的なエピソードが入ると、さらにイメージしやすくなるわよ」


「なるほど~!」


「それと、族っていうのは、暴走族のことよね? 中学生はバイクの免許を取れないけど、そんなころに総長だったの?」


「い、言われてみれば……!」


これはいろいろと、直す必要がありそう!

<<直してみたよ★>>

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「いちご、おはよ! ねぇ聞いた? 今日、転校生が来るんだって!」


教室へ行くと、親友のくるみが近づいてきた。

クラスのみんなも、転校生の話題で盛りあがっている。


「うちのクラスに来るの?」

「そうらしいよ! しかも、中学生のころ、甘王のトップだった人らしいよ……!」

「えーー!?」


甘王っていうのは、日本一強い不良チーム。


理由もなく悪さをするわけじゃなくて、弱い者を苦しめるヤツらをこらしめるってことで有名。


前に、クラスの女子が、夜道で変質者に襲われそうになったときも、助けてくれたんだって。



そのとき、担任の先生が教室に入ってきたので、みんなあわてて席に着いた。


「HRを始めるぞー! 今日は、転校生を紹介する。では、入りなさい」


――ガラッ。


扉が開いた瞬間、見覚えのある男の姿が目に入る。

アイツ、今朝下駄箱でぶつかった……!


「ナルシスト男!!」


私は思わず立ちあがり、叫んでしまった。

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「甘王について、わかりやすくなったわね!」


「わーい♪」


「夢のような憧れ設定は、ケータイ小説ならではの魅力のひとつ。だけど、設定が複雑なほど丁寧に説明しなきゃ、読者には伝わらないってことを、覚えておいてほしいわ」


「たしかに、そうですね~」


「それに、現実ではありえない設定でも、具体的に説明することで、まるで本当のことのように思えて、楽しく読めるのよ」


ふむふむ。

今回みたいに、自分のことに置きかえてイメージすると、おかしいところを発見しやすいのかも。


「暴走族は、“不良チーム”に変えたのね」


「そうなんです! 考えてみたら、物語の中に、バイクに乗って暴走するシーンは出てこなくて……」


「最初に書かれていたことと、中身がちがうと、読者は不思議に思うだろうしね」


「そうなんです。それに、中学生のころって設定は、変えたくなかったから!」


「いいと思うわ。書く前に自分で調べることも、作家にとって、とても大切なことよ。インターネットで調べればわかることも、いっぱいあるからね」


今回も、勉強になりました!

次もがんばるぞ~~!


~*~*~*~*~*~


Step2♪まとめ


設定が読者に伝わるか、

意識しながら

読み返してみよう!


途中で設定が変わらないよう、

気をつけてね。


また、書く前に

自分で調べてみることも、

とっても大切だよ!


~*~*~*~*~*~


<<コイチゴが書いてみたよ★>>

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「誰がナルシスト男だって? そんなに俺にかまってもらいたいのか?」

「はぁっ!? 誰がアンタなんかに……!」

「静かに!」


なんで私が怒られなきゃいけないのよぉ~。


「では、自己紹介しなさい」

「となり町の第一高校から転校してきた、甘宮来夢(あまみや らいむ)です。どうぞよろしく」


フンッ! 気取った話し方しちゃって!


「ちょっと、いちご! あの転校生と知り合いなの!?」

「し、知り合いなんかじゃないよ!」

「えー!? さっき話してたじゃない! うらやましい~」

「うらやましい!?」


ふと周りを見わたすと、教室内の女子はみんな目をキラキラさせて、ナルシスト男に見とれている。


「甘王の元トップなんだよな……スゲ~」


そんな声まで聞こえる。


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