わたし、コイチゴ!
ケータイ小説が大好きな女の子。
読むのも好きだけど、最近、小説を書くことにもハマっています♪
この前、初の長編作品を完結させることができたの!
しかも、ランキングにまで載っちゃって……☆
『ドキドキしました!』
『登場人物がかっこよくて、胸キュンでした!』
そんな感想も、たくさんもらっちゃったよ♪
これは、書籍化される日も、そう遠くないかも!?
「編集部さ~んっ!」
「あらコイチゴちゃん、こんにちは」
やって来たのは、野いちごの書籍編集部☆
さっそく、自分の作品をアピールしちゃうぞっ!
「わたし、作品を完結させて、ランキングにも載りました♪」
「おめでとう! レビューもたくさん書かれているね」
「そうなんですっ! あの、そろそろ書籍化なんて考えてもらえませんか?」
「う~ん……。たしかにコイチゴちゃんの作品は、ハラハラドキドキで、胸キュンシーンもいっぱいあったよ」
「えへへっ♪」
「だけど、足りないところがいくつかあって……。正直に言うと、このままじゃ、書籍化は難しいわ」
「えぇっ!?」
ガーーン!!
編集部さんの厳しい言葉に、ショックを隠せません!
「グスン……。わたし、作家には向いてないのかなぁ?」
「あきらめるのはまだ早いわ。野いちごでは、誰にでも書籍化のチャンスがあるんだから。今回は特別に、作品を見ながら、レベルアップの方法を教えちゃいましょう!」
「よろしくお願いしま~すっ!」
こうして、編集部さん直伝の、小説講座が始まりました☆
<<コイチゴが書いてみたよ★>>
――――――――――――――――
「おはよー!」
今日から新学期。
文化祭ももうすぐだし、楽しみだな~!
――ドンッ!
「いたっ!」
そのとき、誰かがうしろからぶつかってきた。
うわぁ……。
こんな男子、うちの学校にいたんだ……。
「なに、見とれてんだよ?」
「ほえっ!?」
「俺にホレたか?」
……はぁぁ!?
「ほ、ホレるわけないでしょ!? バッカじゃない!?」
なによ、このナルシスト男―っ!!
そう言いながらも、私は、自分の胸がドキドキと高鳴っていることに気づいていた。
――――――――――――――――
「……どうでしょう!? 編集部さん!」
「うぅ~ん、まず、この最初の『おはよー!』は、誰がどこで、誰に向かって言っているのかな?」
「え? 主人公のいちごが、下駄箱で、クラスの友達に……」
「それが書かれていないから、私にはわからなかったなぁ」
「あっ……」
わたしの頭の中にはシーンが浮かんでいたんだけど、読んでいる人には伝わらないのかぁ……。
「それに、新学期っていうのは、1学期? そもそも、この主人公がどんな子か、中学生か高校生かも、わからないわよ」
「た、たしかに~……」
「そして、一番重要なところ。このぶつかった男子は、どんな人なの? 『こんな男子』だけじゃ、イメージできないなぁ」
そっかぁ……。
よぉ~し!
編集部さんに言われたことを意識して、書き直してみます!
<<直してみたよ★>>
――――――――――――――――
「おはよー!」
私、いちご。高校2年生。
明るくて元気だけど、ちょっぴりドジな女の子。
今日から2学期なの。
文化祭ももうすぐだし、楽しみだな~!
私はわくわくしながら、下駄箱でクラスの友達にあいさつしていた。
――ドンッ!
「いたっ!」
そのとき、誰かがうしろからぶつかってきた。
うわぁ……。
そこにいたのは、長身で、モデルも顔負けってくらい整った顔立ちの、超イケメン。
こんな男子、うちの学校にいたんだ……。
「なに、見とれてんだよ?」
「ほえっ!?」
「俺にホレたか?」
……はぁぁ!?
「ほ、ホレるわけないでしょ!? バッカじゃない!?」
なによ、このナルシスト男―っ!!
そう言いながらも、私は、自分の胸がドキドキと高鳴っていることに気づいていた。
――――――――――――――――
「どどど、どうでしょう……?」
「うんうん、映像がパッと思い浮かぶし、男の子がすごくかっこいいってことも伝わってきたわ」
「や、やったぁ~~♪ “いつ、誰が、どこで”を意識して書いてみたんです!」
「えぇ、それはとっても大事なこと。物語の冒頭や、場面が変わるところでは、とくに注意してほしいわ」
「ふむふむ。このページもまさに、物語の最初のシーンでした!」
「そういうシーンは、読者の頭の中でまったくイメージが浮かびあがっていないところからスタートするから、丁寧に書かなきゃね」
そのとおりかも。
場面がパッと思い浮かぶと、自分がその世界に入っちゃったみたいで、わくわくしちゃうもんね♪
「これでわたしも、作家として完璧ですね♪」
「いいえ、まだまだ。これは基本中の基本、第一段階クリアってとこよ」
「えぇっ!?」
編集部さん、案外ドS……!
だけどコイチゴ、次もがんばりま~す!
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Step1♪まとめ
“いつ、誰が、どこで”が、
読んでいる人に伝わるか、
意識しながら
読み返してみよう!
冒頭と、シーンが移り変わるところは、
とくに注意が必要だよ☆
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<<コイチゴが書いてみたよ★>>
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「いちご、おはよ! ねぇ聞いた? 今日、転校生が来るんだって!」
教室へ行くと、親友のくるみが近づいてきた。
クラスのみんなも、転校生の話題で盛りあがっている。
「うちのクラスに来るの?」
「そうらしいよ! しかも、中学生のころ、甘王の総長だった人らしいよ……!」
「えーー!?」
甘王っていうのは、超有名な族。
そのとき、担任の先生が教室に入ってきたので、みんなあわてて席に着いた。
「HRを始めるぞー! 今日は、転校生を紹介する。では、入りなさい」
――ガラッ。
扉が開いた瞬間、見覚えのある男の姿が目に入る。
アイツ、さっき下駄箱でぶつかった……!
「ナルシスト男!!」
私は思わず立ちあがり、叫んでしまった。
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