「うーん・・・・」




私もコップをテーブルにおいて、考えてみる。





たしかにちょっとだけコメディ映画とかでそういうのみたことあったっけな。




「え、あの・・・・・右と左に天使と悪魔がいるやつ? 大体悪魔がやっちゃえって悪い方向に人間を誘導しようとして、やめたほうがいいってそれを天使が阻止するっていう・・・」





「ああ、うん、それそれ」


静かに微笑みながら、またちょっと笑うサラちゃん。




「いわゆる、さ、極端にいえばそういうことになるのかな。別に悪魔が悪い役をかってるわけじゃないんだけど、

この世界のすべての欲望は私達、サタンに使える悪魔、もしくは黒羽団が生み出し、それを人間達に与えているの。」






「欲望を生み出す・・・・・?」




「そう。食・睡・性の欲だけじゃなくて、いわゆる中毒を呼び起こす可能性があるものかな。

だからたとえば、音楽、ゲーム、テレビ、運動、宗教・・・・・・。芸能人にはまることや、単なる趣味だってそれはある種の欲にすぎないの。」



私はただ、目の前の少女の話を静かに聴くだけ。





「そして、私達黒羽団の役目っていうのはそういう欲を人間に与えること。それは決して悪いことじゃないんだけどね。


だってなんの欲がない人間なんて、生きる欲までも失ってしまうものだから。」




綺麗な瞳が静かにこっちを見つめている。




「まあ、ただその欲が悪い方向に向いてしまうのは、何もかも捨ててそれに没頭してしまうとき。


特に麻薬やギャンブル、お酒なんかは典型的な例として、悲惨な結果を生み出すもの。」