悠斗は舌打ちし、言う。



「菜月は、お前じゃ扱えねえーって。タラシの兄貴見てたら、本質くらいよく分かる。」


「………。」



ぞく、とする。


何とも言えない好奇心、奥ゆかしい扉がある想像、弟が──何か、すんげえ面白い子を連れてきた感動。




「……あの、」

「んー?どした、菜月チャン。」

「安物で…ごめんなさい。あの…主に私とこれが。」


「え?」「ん?」



ちょっと待って菜月チャン。


なぜそんな申し訳無さそうにチョコの箱を差し出し、食われる前の小動物みたいにこっちを見る?



「な、菜月チャン。そんな、女の子から貰うなんて。たかが自宅訪問──」

「350円です。ごめんなさい。」

「値段公表したよ!!!」