「家政婦、ですか」
「はい」
「メイドではなく?」
「あ、それの方が可愛いかも知れないですね」
メイド、と小さく言い直した雅は。
何が気に入ったのか、ふふっ、と嬉しそうに目許を染めた。
二人が和やかに会話をする間、凱司は黙ったままだった。
宇田川に説明は、した。
したが、その上で宇田川の言った事を、無視出来なかった。
『学校が始まっても、しばらくやらない方がいいと思います』
鷹野息吹を捕縛しない限り、いいカモにされるのは目に見えています。
雅さんの顔が割れないよう、外には出さない方が安全かと。
「宇田川」
何故か、フラスコのオリヅルランの、この後の育て方について雅と語り合っていた宇田川を、低く、呼んだ。
「息吹を、あと1週間でなんとかしろ」
雅をどうにかする気ならば、最初に接触した時点でしているだろう。
単に姿を現して、わざわざ警戒させるわけはない。
あいつは、鷹野の弱味を探ってるんだ。