「こちらが鷹野息吹の現在の貸付残高です」


プリントアウトした表を取りだし、最終的に残っている数字を人差し指で示す。


「で、こちらが鷹野息吹の施設利用料を含む、残高です。この部分までは一樹さんにより完済」


まだまだですね、と宇田川は次々と、紙を取りだし、指差してゆく。

視線は再度、フラスコに育つオリヅルランに向けられたが、表情は変わらなかった。



「で、今朝がたメール差し上げた通り、息吹本人からの入金が確認できずに、いまだ一樹さんよりの入金のみに留まっていまして」


淡々と話す宇田川の声に、わずかに苛立ちを感じて、凱司は目を上げた。


「それはまだ構わないのですが…昨日、歌舞伎町で揉め事があり、そこに鷹野息吹がいたと、耳にしました」


捜し出しますか?

と、口調も丁寧なまま言う宇田川の目に、剣呑な色が浮かんだ。