鷹野が渋々出かけて行った後。

宿題のノートを書く雅の傍らで、凱司は携帯をいじっていた。


立て続けに、三通のメールが届き、それを代わる代わる何度も眺めた。


一通目は、実父から。

他愛もない、ふざけたメールの最後に、鷹野に譲れる店舗物件がある事を言い忘れた、と書いてある。

二通目は、凱司がまだ実家に居た頃から付き従っている、年配の男。

報告、という形で随時連絡をしてくるが、“鷹野息吹について”
と件名を打たれた内容は、この男の勘の良さを露呈していた。


三通目は、昌也からの、そろそろライブしませんか、雅ちゃんは元気ですか、乱暴な事してませんか、という、相変わらずなメール、だった。


凱司は、二通目にだけ返信を打つと、小さく息をついてから、
雅のノートを覗き込んだ。