「……ああ、そうだ」


急に声の調子を変えた凱司が、鷹野に話し掛ける。


「お前らの好きそうな菓子、いっぱい持たされたんだった。車ん中忘れてきちまった」

二人で取って来い、と凱司は立ち上がり、アイスコーヒーを飲み干すと、グラスをシンクに運んだ。



「…鷹野、笑え。いつもみたいに、へらへらしてろ」


「…へらへら………」


「雅は、予定通り新学期から学校行け。しばらく送り迎えは譲れねぇが…我慢しろ」

そういや宿題終わってんのか?



凱司も、必要以上に怯えさせた事を後悔しているのだろう、いつになく饒舌だった。


「…英語、終わってないです」

「出しとけ。見てやる」



ようやく馬鹿にしたように笑う凱司に、少し安心したのか、雅も僅かに目を和らげ、鷹野にもほんのりと、笑いかけた。