「何で……言わねんだよ。」



そのあと、あまりにあたしが驚いたからか、深雪が男たちと綾を追い返した。


あたしは、とりあえず、気持ちを落ち着かせてから深雪を家の中に招き入れた。


お茶を出していたら、後ろの方から深雪の声がしたんだ。



「何で一番先に、俺に、言わねんだよ。何でまた…自分だけで背負おうとしてんだよ!」



テーブルに男らしい骨張った拳を打ち付けながら悔しそうに言った。


あたしは、言葉を失って立ち尽くすことしかできなかった。



「何で深雪は分かったの…?」


「…魁から電話きたから何かあったかなって。いつもメールだったから。」



そう言ってしばらく何も言わずに黙り込んでいた深雪は、帰るわ、とだけ言い残して出ていった。


あたしは、こんなに深雪の存在が大きいとは思わなくて静まり返った部屋の中でただ茫然と深雪の出ていった扉の向こうを見ていた。