「おっ、綾ぢゃん!」
「お久ー♪」
「お前のおかげで俺ら絶好調!」
聞き覚えのある、高い声に合わせるように男たちが汚い声をたてた。
冷や汗が背中を通る。
指先が震えていた。
視線の先にあったのは、昼とは、違う顔をした綾の姿だったから。
「でっしょー!だから信じなってゆったぢゃん!あんな女ちょろまかすの超簡単だったわよ!」
あははは…と、笑い声があがる。
ガクガクと体が震えた。
あたしは、とっさに掴んだ携帯を握り締めながらある人の名前を探していた。
ボタンがかちかちと音を立てていく。
耳に押し当てると、冷たい携帯の感じとプルルルル…と電子音が鳴り響く。