私は手をドアにかけ、
「私は、
敦紀さんの事、
大好きになっちゃったみたいです。
言いたいことは言いました。
それじゃあ」
・・・
そのままドアを開けた。
「言い逃げはやめなさい!」
敦紀さんの声が、
背中に突き刺さる。
「言い逃げなんて失礼な!」
と、つい、
振り返って叫んだ私。
・・・・と。
・・・
ポスッと音を立てて、
敦紀さんの胸の中に、
包まれていた。
・・・
「何でそんな大事な事を、
面と向かって言わないんですか?」
・・・
「は、恥ずかしいからに
決まってるじゃないですか?!」
・・・
「ちゃんと、
目を見て言ってください」
・・・
と、言われましても、
言えないから、
さっきの言い方したのに・・・
・・・
敦紀さんに
ジッとみられ、
どうしていいかわからない。
「ちゃんと言って?」
・・・
「す・・き・・です」
・・・
言葉になってない。
…でも無理。
「オレも、
千波の事、スゲー好き。
会えない時間が、
どれだけ寂しかったかわかる?」
そう言って、
なお一層、
私を強く抱きしめた。
・・・
「敬語じゃなくなってる」
・・・
と言った私に、
「好きな女に敬語なんか使わない」
・・・
そう言った敦紀さんは、
私に覆いかぶさるように、
キスをした。
・・・
ヤバい。
どうにかなりそう・・・
そっと唇を離すと、
頬を赤らめた千波がいた。
・・・
想いなど、
絶対通じないと思っていた。
・・・
それが今、
愛する彼女から、
忘れらない告白を受けた。
・・・
こうして自分の腕に抱けることが、
どれだけ嬉しいか。
千波に伝わっているだろうか?
・・・
「千波」
名前を呼ぶと、
首を傾げて微笑んだ。
・・・
何でそんな可愛いしぐさが出来るのか。
・・・
それ以上は何も言えなくなって、
オレは千波を抱きしめた。
「あ、あの・・・
何か言いたかったんじゃ‥?」
オレの胸の中で、
くぐもった声で聴いてきた千波。
・・・
「もう離さないから」
「・・・」
「そう言いたかったんだ」
「・・・」
・・・?
千波は
急に申し訳なさそうな顔をして、
オレを見つめた。
・・・
何か言いたそうだ。
・・・
「何が言いたい?」
そう言って優しく顔に触れると、
その手を優しく掴んで、
でも、
目は泳がせて、
小さな声で呟いた」
「私の胸の秘密知ってるのに。
ホントに私でいいんですか?」
・・・
千波の言葉に、
一瞬驚き目を丸くした。
・・・
そんなこと、
気にしなくていいのに。
「オレのあざを見せただろ?」
「うん」
「千波は綺麗だって言ってくれた。
まだ見たことはないけど、
見たからって幻滅はしないし、
オレは千波の全部が、好きだよ」
・・・
そう言って、
人には見えないギリギリのラインに、
キスをした。
・・・
そうそれは、
胸元。
「これは、
千波がオレのモノになった証。
まだ不安なら、
これから試してみる?」
・・・
オレの言葉に、
千波は真っ赤な顔をした。
「い、今は、
想いが通じただけで、
一杯一杯です・・・」
そう言って、
オレの白衣を掴んだ。
・・・
千波、
君の心も、
君の体も、
オレの全部で、
愛していくから。
・・・
オレは千波を優しく抱きしめた。