廊下から雲一つない青空を見上げると、空はスクリーンのように広くすっきりしている。

 そのスクリーンに向かって、太陽の光は映写機の役割を果たしているようで、まるで過去すら写し出せるほど澄み切っていた。






「るいちゃん!るいちゃん!」


 奈緒がるいの肩を掴み、身体を揺らしながらるいを呼んでいる。

 我に返ったるいはしばらくボーとしてしまい、自分が置かれた状況が理解出来ない。


「奈緒……ちゃん?」

「え?」

「あ………ううん、何でもない。どうしたの奈緒?」

「るいちゃんこそどうしたの?麻理ちゃんの名前を呼んだらボーとして」

「え?そ、そうかな?」

「そうだよ、……ほらじっとして」


 奈緒はるいの制服のスカーフが曲がっている事に気付き、締め直す。廊下にはるいと奈緒がいたがあかねは廊下にいない。