10年前の夏、ある公立の小学校では一学期の終業式を終えて帰りのHRを迎えていた。

 子供たちはまだかまだかとそわそわし、何人かの生徒は先生に早く終わるようにせがんでいた。






「はいでは皆さん、二学期に元気で会いましょう」


 女性の先生がそう生徒に告げると生徒は嬉しそうに返事を返し、別れの挨拶でHRが無事に終了。

 ほとんどの生徒は教室を飛びだし、残った生徒はわずかしかいない。


「……………奈緒……ちゃん、一緒に……帰ろう」

「え、何てるい?聞こえない」


 幼き日の奈緒は手提げに荷物を詰め込みながら、るいの話を聞いていた。


「……だから、一緒に………帰ろう。………ダメ?」

「一緒に?うんいいよ、るい」


 るいは笑顔になり、それを見た奈緒は赤ちゃんを撫でるように優しく触れ、るいは更に喜んだ。