大学から自宅へ帰ろうとする二人。ハグこそはなかったが、奈緒はるいの腕に絡まるように歩き、るいは気が滅入っていた。


「……………ハァ」

「大丈夫るいちゃん?」

「誰のせいよ」

「じゃあ、今からるいちゃん家に行ってあげる」

「今日は用があるから無理」

「用?」

「まさあ…………」


 るいは話しを途中でやめるが、奈緒はハンターのような鋭い視線でるいを見る。


「る〜い〜ちゃ〜ん〜、私以外の人と〜」

「ち、違うよ、そう言われただけ……」

「じゃあドタキャンして!」


「…………ドタキャン」


 渋々ケータイを出したるいは雅明に今日は行けないっていう旨のメールを打ち、奈緒はそのメールを確認。

 その内容に少々納得はしていなかった奈緒だったが、送信ボタンを自ら押す事でその不満は吹き飛んだ。