後で支払う代償(水やり)の事を口にしなかった奈緒は、食べたせんべいの和紙を一カ所にかき集めた。


「でもあかねちゃんって、大人になったらする事決めてんだ?」

「何なん奈緒突然?」

「私、将来先生になりたいの」

「いや聞いてへんし」

「聞いて聞いて」

「はいはい。そんなら頑張って頑張って、ウチおうえんするわ〜〜」


 全く感情を込めないあかねに対し、今度は奈緒が膨れっ面になり、またまた不穏な空気に。


「もうー、さっきのアサガオ何とかしてあげるから聞いてよー」

「ホンマかー!?そんでそんで?」

「………うん、先生になりたい………」

「いやー、奈緒は先生になるんかー。はい、アサガオの件よろしゅうなー」


 何と無くの敗北感を味わった奈緒。それに対してあかねは嬉しさのあまり、奈緒がかき集めたゴミを率先して捨てた。