「……………………あり………とね」

「え!?今なん………」

「あ、あ、あした、そう明日おごりねって言ったの!!」

「あ、うん、……………わかった…………、え?」


 しまったという顔をする雅明、断ったら嫌な事が起きそうだったので、ぐっとガマンした。


「……………………そろそろ私帰るね」

「そうか……………、外暗くなって来たから送ろうか?」

「ううん、大丈夫」

「……………じゃあ、玄関まで…………」


 るいはカバンを持ち玄関までの間二人は一言も話さず、玄関に着く頃にはどこからか来ていた店のお客さんで賑やっていた。


「またな、るい」

「うん、また明日………」


 手を振って別れを告げたるい、手を振るのをやめると一度も振り返る事もなく雅明の家を後に。

 まだ少し寒い帰り道、外が完全に暗くなる前に急いで自宅まで走った。