「怖い夢でも見た?」


「……」



ほんとのことを言ってもいいのかな?


ほんとは“キスして”って言いたい。


“抱いて”って言いたい。


だけど、女がそんなことを言ったら引くんじゃないかって、いつも言えないでいた。



結局彼のその言葉に答えることなく、涙が止まったと同時に彼から離れた。



「朝ごはん作るね」


「ん」



どうしても視線を合わせることができなくて、俯いたまま布団から出て、キッチンへ向かった。