「結局、二人はよりを戻して、彼女は俺から離れていった。すっげぇ好きな女だったし、ずっと大切にしていくつもりだったからさ、立ち直れないくらいにへこんだんだ」



そう言った彼は、足を大きく開いてソファーに腰掛け、両肘を両膝に立てたまま、両手で顔を覆いながら俯いた。


それでも、その状態のまま彼は口を開く。



「毎日諦めなければと思いながら、日々過ごしていたんだ。だけど……そんな俺を、彼女が訪ねてきた。しかも……『俺の子がお腹の中にいる』というとんでもない現実も一緒に引き連れて」


「えっ」



あまりの驚きに、思わず彼を見上げながら声をあげてしまった。


そんなあたしに、彼は苦笑を浮かべながら顔をあげたけれど、すぐにまた当時を思い出しているからか、凄く切ない表情に変わった。


そしてまた、口を開いた。