彼には気付かれていないと思っていたから、最近は特に大胆になっていた。


なのに……


彼は全部知っていて、その上で黙っていたなんて。


そんな告白をされても何て答えたらいいのかわからない。


彼の真っ直ぐな瞳を見ていられなくなって、そのまま俯いた。


だけど、彼は寝ているのをいいことに好き勝手やっていたあたしのことを全く責めなくて。


さらに言葉を続けた。



「俺、ズルいんだ。自分からはできねぇから、奈留がやってくれるのを待ってるなんてさ」



正直言っている意味がわからなかった。


だって、やってくれるのを待っていたって。


それって、あっくんもキスをしたかったってこと?


だけど、自分からはできないって……


どういうこと?



「俺さ、奈留に大切なことを隠してるんだ。ほんとは、付き合う前に言わなきゃならなかったんだ。でも……あの時の俺には、言えなかった。奈留が離れていくことに耐えられなくて、言えなかった」