それに、いつも同じ布団で寝ているけれど、身体を重ねたことはない。


想いは通い合わせているはずなのに、彼は手を出してこないんだ。


あたしはいつでも受け入れられるのに。


そんなことを考えていると、緩んでいた頬がだんだんひきつっていく。


それと同時に、目の前の顔が歪んでいく。



「奈留(ナル)?」



あまりにも歪みすぎたせいで、彼が目を覚ましたことにも気付かなかった。



「何で泣いてんだよ?」



そう言いながら、頬を伝い始めた雫を彼の柔らかい親指でやさしく拭ってくれる。



「好き」



涙と一緒に想いまで溢れ出して、その言葉を発すると同時に彼の胸へと顔を埋めた。


彼はそんなあたしの背中をポンポンとやさしく撫でてくれる。