俺は、突っ立ったままの直に、元気か?と尋ねた。



直は、少し不思議そうな顔をして、頷いた。




「今日は、楽しそうに話してたな。中田とお前、始業式喋りすぎ!」



「うん。」




直は、ただ頷くだけで、いつもの直じゃない気がした。




「どした?」





もしかして、さっきの里田のこと気にしてるのか?

それとも、またお姉ちゃんと何かあった?




俺は抱きしめたい気持ちを押し殺し、直の顔を覗きこむ。




その後、俺の想像を超えたセリフを直が言ってくれた。





俺は何度もその声を頭の中で繰り返し思い出すことになるだろう。




「先生、キスして。」