「でも今ここで命を落としてしまったら、それもままならないわ」

「いい案、思いついた?」


 後ろに向かって銃を撃ちながら、ミサトは聞いた。

 にこにこしながら頷くユイ。


「逃げるのよ」

「ご名案!」


 こっち、と促されるままにミサトはユイの後を走る。

 そして、ユイは近くのドアを開けた。

 その途端、むせかえる匂いに顔をしかめる。


「…これ、って…!」

「私の部下たちね」


 無造作に重なり合うように横たわる動かない人間を見つめながら、ユイは言った。

 むせかえるこの匂いは、その死体から漂う血の匂い。