「…どっか行っちゃダメよ。悪いオジサン達がたくさんいますからね」

「子供ですか、あたしは」

「あなたが迷子になったら、あなたの保護者の二人に私が叱られるのよ。さ、行くわよ」


 運転席のドアを閉め、ユイは歩き出す。

 ミサトは慌ててその後を追った。

 駐車場からビルの中に入る。

 守衛がこっちに向かって軽く頭を下げた。


「あ、どうも」


 つられて愛想笑いをするミサト。

 だがユイは気にせず にスタスタと歩く。


「あ、ちょっと待ってよ」


 追い掛けようとした時、守衛が受話器を持って何か話をしているのが見えた。


「……?」


 ミサトは一瞬そっちに気を引かれるが、エレベーターのドアが閉まりかけているのに気付いて、そっちに乗り込む。