「私が知っているのは『ホン・チャンヤー』のボスの顔」


　ユイが言った。

　だが、ミサトの違和感はまだ拭えない。

　何かが引っ掛かる。


「ねぇエイジ、『ウー・イーシー』の幹部の顔って、見たことある？」

「いや。連絡は直接顔を見ない方法をとっていたからな。電話やメール、オーソドックスに郵便で、なんてこと もあったな」

「あたしもそうよ。確かにウー・イーシーという組織は存在するのに、それを構成している人物のことは何も知らない」

「秘密組織だろ。そんなこと、不思議でもなんでもねェ」

「…あのハクっていう人物が、ウー・イーシーと何らかの関わりを持っていた、なんて考えられないかな？」

「…まさか」


　いきなりの爆弾発言に、エイジとレンは驚いたように言った。

　だが、今まで黙っていたユイが口を開く。