ミサトは、ごくりと喉を鳴らした。

 世界中で一番、敵に回してはいけない相手。

 そのことを思い出すだけで、体中に緊張が走る。

 エイジとレン、そしてミサトが関わっていた組織『ウ ー・イーシー』。

 失敗=死、という方程式が、その組織の存在価値を表していた。

 にもかかわらず、この組織に属していた三人が未だに生きているというのは…。


「世界的に暗躍する裏の組織…私も、自分なりにずっとその組織について調べてたの」


 ユイが言った。


「ウー・イーシーが手懸けたと思われる仕事…それはいつも、世界的要人の暗殺や裏の世界でも名の知れた人物の暗殺…」


 優秀なスナイパーとして雇われていたミサトも、ユイの言うことには心当たりがあった。


「だが俺達は、その目的も知らされずに機械的に任務を遂行するだけの、ただの道具だった」


 天井に向かってタバコの煙を吐きながら、エイジが言った。