「…せぇの」


 軽い掛け声とともに、ミサトは引き金を引いた。

 タイヤを打ち抜かれた車は、こっちの車を掠めて蛇行しながら路側に落ちて横転した。


「きゃっほーい♪」

「アホ! ぶつかるトコだっただろうが!!」

「いいじゃない。結局ぶつからなかったでしょ?」

「そういう問題じゃねェだろ!!」


 ぎゃあぎゃあと言い合いをしていると、前の車が横に並んだ。


「やけに格好よく登場したと思ったら…何ぎゃあぎゃあと騒いでるんだよ?」


 運転しながら窓を開け、エイジが呆れ顔で言う。

 だが今はとにかく落ち着くことにして、繁華街の一角にある建物で、四人は合流した。

 ユイに言わせると、そこは『ホン・チャンヤー』が経営する高級クラブ。

 そのVIPルームは完全個室になっていて、誰にも会うことはない。