すっかり暗くなった夜道を、レンとミサトは山の方に向かって走っている。

 だがしばらくすると、物凄い勢いですれ違う車を見かけた。


「…まさか」

「Uターンよ、レン!」


 銃を取り出し、ミサトが叫ぶ。


「なんだか嬉しそうだな、お前…」


 言いつつも、レンは車を反転させる。

 追い掛けているのは、一台だけだった。

 その後部座席からは、男がこちらにも照準を定めているのが分かる。


「こんだけ暗いんだからさ。ちょっとは頭、使った方がいいと思うんだよね」


 ヘッドライトに照らされて、こっちから向こうは丸見えなのだ。

 いくら高速で動いているとはいえ、この距離からタイヤを狙うなんてことは、ミサトにとっては朝メシ前のことだった。

 窓から身を乗り出し、片手で照準を合わせる。