「…あけてみろ」


 レン促した。

 エイジは、そっと封筒を開く。


「どうなんだ?」


 まるで、早く動きたくて仕方がないというように。

 そんなレンを見て、エイジはにやりと笑う。


「言ったろ。黙って待ってても、トラブルはあっちから舞い込んでくる」


 自分達の、最終的な『目的』。

 本当は、自分達は死んでいてもおかしくはなかった。

 それが何故、今でもこう して生きていられるのか。

 その答えに、また一歩近づくことが出来る。

 地名だけが書いてあるその一枚の手紙を手に取り、レンは無機質なその印字を見つめた。

 誰も知らないはずのこの隠れ家を捜し出せる人物の心当たりは、今のところ一人だけだった。


「どう思う?」


 手紙をエイジに手渡して、レンは聞いた。


「デートの誘いだろ? それほどまでに俺に会いたいのかね、ダウンタウンを取り仕切るマフィアの大ボスは」

「そんな言い方すると、あいつが怒るぜ」


 ひとしきり笑って、レンは残りのビールを飲み干した。