「…。」
鏡の中のこの投げやりな顔。
流石にこんな表情のまま行くのは失礼だ。
俊は気合いを入れるようにパンパンと自分の頬を両手で叩いた。
◆
「もったいない!」
口々に周りから非難めいたヤジが飛ぶ。
…そんなこと言われても。
半年前までこの髪型だったわけだし。
「滝井!どしたんだよその頭(笑)」
「あー、部活入った。」
「部活?」
「軟式。」
「あー、野球ね!これまた似合わない所に(笑)」
に、似合わない?
「似合わないってなんなんだよ…。俺中学野球部入ってたんだけど。」
「へー、想像つかねぇ!」
こんな感じで周りからは散々の言われようだった。