工藤はヨイショっとカバンを肩にかけ直した。

「…それでも、受けるだけ受けたかったな。」

「しゃあねぇよ。こればっかりはお前が悪いんだからな。」

「…だな。」

何を言っても後の祭り。

今日もダラリとやる気なく帰り支度し、とぼとぼと廊下を歩く俊の背中に、


「滝井君っ、」

走って来たのか、担任の少しうわづった声が刺さった。













慰めのようなものだった。


担任から「硬式は無理だけど、軟式なら通常の部活と一緒の扱いだから入れますよ。」という言葉で、そんな堅い決意もなくフラフラと入部届けにサインした。


帰宅して、何の高揚感もなくバリカンのコンセントを入れる。

「半年ぶりか。」

バリバリと音をならしながら肩に半年分の髪が落ちる。

後ろはいつも弟にしてもらっていたけれど、その日は生憎友達のうちに泊まるとかで不在だった。

手探りでバックも刈り、ふぅと息をつく。