北は北海道から

南は沖縄まで。

ああ、だから寮なのか。

本当に情けない話…、

生半可に実力を知っている為、あのメンバーを蹴散らせて入部する自信は、ない。


担任の話では寮も定員オーバー。


あまりにもハイレベルな壁に俊はとうとう諦めのため息をついたのだった。





「俊はさ、とっっっきたま、びっくりするような事やらかすよなー。」

同じ中学出身の工藤が肩を落とす俊の頭を励ますように軽く叩く。

「中学の担任ちゃんと教えてくんなかったの?」

「…一般入試の方で受けてたし、俺野球部希望とか伝えてなかったし…。」


プルプルしたおじいちゃん先生を思い出す。


「まぁ、あれだわな、お前普段からキチンとしてるし、俊ならちゃんと分かってると思ってたんだろな。…まあでもどのみち、難しかったと思うぜ?」


「?」


俊は今一度工藤の顔を見つめる。

工藤はしかめっ面で投げやりに答えた。


「野球の実力テスト、スカウト枠の奴らと、一般申込みの奴らと、だいたい半々ぐらいなんだよ、人数。でもな、」


工藤はふぅとため息をついた。


「やっぱり受かってんのはほとんどスカウト枠の奴らだ。もちろん実力の差もあるだろうが、わざわざ学校側から“うちの学校に来てくれませんか”つって声かけてる分、落とされにくいだろうよ。人数制限厳しいしな。」



「…。」