最近、本当によくぶつかる。

第4グラウンドへ行く道の途中、曲がり角の水飲み場で、また誰かに激突した。

今度は尻餅を付く前に、腕をガシッと引っ張られて助かったけれど。

「…。」

「…あ。」

澄香はぱちくりと腕を引っ張ってくれた人物を見上げる。

滝井くんは最初少し驚いた顔をしていたけれども、すぐにクシャッと困ったような笑顔を見せた。

なんだろう。

ここの所、幸せ過ぎるぐらい彼の知らなかった色んな表情を見せてもらっている気がする。

「…千葉、ぶつかり過ぎ。」

「あ、…あのね!」

ドキドキと心臓が最大級に高まるまま、澄香は声を跳ねさせた。

そんな切羽詰まった澄香の手を滝井くんはキュッと引っ張る。

「カバン、持ってきてる?」

「え?」

「こっち。」