“スキナヒト”
“好きな人”…?!
頭の上を同じ言葉がぐるぐると回転する。
すぐさま発見した彼は、同じ練習着姿の男の子達2、3人に囲まれ、なにやら冷やかされていた。
少し遠くてどんな話をしているのか分からない。
でも、周りの人にニヤニヤ顔で頬に貼られたピンク色の絆創膏をつつかれたりしていた。
バチッ
「!」
今までそんな事、
一度だってなかったのに。
ふと視線を上げた滝井くんと、ばっちり目があってしまった。
またもや固まってしまった澄香に、滝井くんはすぅっと息を吸って、そして
空に叫んだ。
「逃げるなよ!待ってろ!」