「元カノの事情は前に話したよな?」
「うん」
拓海の元カノ。
それは拓海のお兄さんの女友達だった人。
拓海が中2。お兄さんと綾さんは高3だった。
お兄さんの女友達なため、よく家に遊びに来ていたらしい。
そして、拓海はその人…綾さんと知り合った。
それから、お兄さんがいなくても、頻繁に拓海の家に行き、拓海と親しくなっていった。
ついに、綾さんの方から告り、拓海は綾さんと付き合うことにした。
拓海は純粋に恋をしていた。
中2だけど、早くから大人の道を進んでいった。
でもある日、綾さんとお兄さんが寝ているのを見てしまったらしい。
そのあと問いただしたら、お兄さんはあっさり認め、嘲笑うように言ったらしい。
『綾がガキのお前に本気なわけねぇだろ』
拓海は嫉妬、怒り、兄貴への殺意が芽生えたって。
でも拓海は自分のなかに押し殺したんだ。
その後、拓海は綾さんに振られた。
お兄さんとのことをただただ、ひたすら謝ってきたらしい。
その時、綾さんのお腹にはお兄さんとの小さな命が宿った。