俺から言うべきか。
「愛梨…ちゃんと言うから。
名波からの告白はちゃんと断ってきた。」
「…」
「ごめん。抱きついてきたのは向こう。でも、拒否できなかった俺にも問題ある。」
「…」
「ごめん…」
「ちがうの…」
…え?
「違くないけど…違う…。」
違くないけど、違う…?
「"ななみ"って呼んで…親しいのかなって…勝手に思い込んで。」
「あ、ごめん。あいつ、名波って苗字なんだ。名前は知らない。」
"名波"って確かに勘違いするよな。
「それに、"名波がどうかした?"って慌ててて…その子のこと心配してるのかなって…。」
「あれは…。拓海があいつは気を付けろっていってたから、愛梨大丈夫だったかなって思って…。ごめん…」
「あの子が私に話しかけてきたことも、悠希を呼んだときの私を見て笑った顔も…、抱きついたことも…全部…怖くて…」
気づけば愛梨は泣いていて、手の上に涙が落ちていった。
「本当にごめん…」
俺は気づかないところで傷つけてる。
最低だよな…。
「ちがう…。私が悪いの…。」
「…愛梨」
なんで。
愛梨は悪くなんかない。