「…」


「…じゃあ俺、追いかけるから」


沈黙を破ったのは俺。


「…」


こいつはなにも言わなかったが、俺は屋上をあとにした。


この分だと多分、俺が追ってももう愛梨は家だろうな。



そう思いながらも急いで下駄箱に向かった。


途中で拓海に会った。


「ヨシ?急いでどこいくの?彼女ちゃんは?」


拓海ナイス!


「拓海、俺の代わりに今日のクラス委員やってくんない?」


「…なんかただよらぬ感じだから、いいよ!」


「サンキュー!」


拓海に任せたところで、急いだ。


拓海、こういうところをきちんと察してくれる。
そういうところは、拓海のいいところだと思う。




どんなに俺が急いでも電車は変わらない。
電車では心を落ち着かせた。


はぁー。


とにかく、愛梨ん家だな。




愛梨ん家につき、インターホンを押そうとしたら、ドアが開いた。


え?


「あら。悠希くん」


愛梨のお母さんがちょうど出掛けるところだった。


「こんにちは」


「こんにちは。愛梨に用よね?」


「あ、はい」